逃げて勝つ投資の鉄則 2日目
▼株式相場に先行するシグナル
金利と住宅指標
その後、株価も下がる
株価の上昇開始、下落開始の見極めはFRBの金融政策を監視するとよい。
▼円相場は景気に天邪鬼に動く
世界の景気が悪いときに円高、景気が良いときに円安。
景気が悪い際、経常収支が黒字である日本の円買いが発生。逆に世界の景気が良いときは円が売られてアメリカなどのドルに集中するため円安になる。
そのため景気が悪いときに円高だと海外リスク資産に投資した際、為替差損を受けやすい。
しかし、円高×株安の際に海外リスク資産を購入し、円安×株高の時にリスク資産の売却を行うとキャピタルゲインのみでなく為替差益も得られる。
そのため、海外資産への投資の際はヒット&アウェーを繰り返して損失を被らないよう回避する必要がある。
また、円相場は名目為替レートでは円高でもインフレ率を考慮した実質為替レートでは円安になる。
日本のインフレ率が低く、海外のインフレ率が比較的高いため。
▼新興国投資のヒット&アウェーのポイント
新興国は経済成長するために、他国からお金を借りて投資を行う。
しかし、基本的に新興国は信用が低いため借りる際は金利が高い。
ただ、アメリカの金融緩和によりドル安でお金を借りやすくなった際に多くの借金をして経済成長を狙う。
新興国の高い将来性を見込んで投資家が注目し、実態経済を超えた評価額に跳ね上がる。
その後、アメリカの金融引き締めが起こった際に過大評価された新興国の金融商品は下落し、同時に新興国通貨も下落する。
ポイントとしては大きな成長を見込める新興国だがFRBの金融引き締めのタイミングで引かなければしっぺ返しを食らう可能性があること。
ただ、新興国の経済成長の段階が経常収支上でどの段階であるかによって反動を受けるかは変わってくる。
債務国から債権国へ変わっているのか、自国通貨が下落したとしても耐えられる資本や債券がどれくらいあるのかがポイントのよう。
短期相場メモ
認知的不協和:二つの矛盾する認知がある場合、その不協和に対する不快感から片方に肩入れして不協和を減らそうとする
予断の罠、確証バイアスで視野が狭くならないために下記4点で考える
①Xが起こると、Yが起こる
②Xが起こらないと、Yが起こる
③Xが起こると、Yが起こらない
④Xが起こらないと、Yが起こらない
通常、①を信じるとこれを裏付けする情報のみに目を奪われがちなため、②~④を裏付ける情報がないか調べて検討すること。
短期相場の変動に惑わされないためにもその期間の平均コストを示す移動平均線を自らの投資軸に照らし合わせて売り買いの判断をする。
専門家の情報と自分の考えの照らし合わせの際に、情報を参考にするのではなく、情報環境自体が分析の対象と自覚すること。
専門家の所属組織の環境によって、本来の景気予測と異なる情報を出すことがある。
個人投資家向けに情報を出している証券会社だと、直近まで買い相場と伝えていた中で景気の下降が始まっても投資家の反発を恐れてまた景気上昇が起こると言い続けるなど。
逃げて勝つ投資の鉄則 田中泰輔
もともとは経済が主で市場が従だったが市場に実態経済がふりまわされる。
過去十年、中央銀行の製作は効果を発揮し、経済成長したため、今後も伸びるだろうと考える人もいる
しかし、30年前から10年前までの経済はバブルと暴落の繰り返しが続いており過去10年間の成長がこれからも続くとは限らない。
○日本円と景気DIの相関
基本、景気が悪くなるとその国の通貨価値は下がるが日本円に関しては反対の動きをとる
景気がよくなれば円安が起こり、景気が悪くなれば円高になる。
景気が悪い際はデフレ、円高による輸出の売上減、そして賃金が上がらない負のスパイラルに陥る。
○投資行動が損失へと歪む
自分の信じた市場の動きに対して、確証バイアスを得る
自分の考えを人に教えることも不安から来る親和欲求によるもの。
不安を和らげるために伝えるだけ。
○長期+分散+積立の罠
長期:現金が必要になった際に、暴落する可能性
分散:もともと、株式と債権での分散の投資が主流だったが債権の金利が低く、預金とほぼ変わらない状況。
そのため、リスクのある株式に投資することは集中と変わりない。
個人的には株式でも分散は必要だと思うので当てはまるとは思う。
積立:上げ相場に確信を持てるなら積立より一括投資するべき。
○人気テーマ投資の呪い
相場が自らトレンドを強化する性質がある相場が上がる際になぜ上がるかを専門家が説明し、強調する。
現在の米国株投資も相場が伸びている理由を解説し、市場の強気を煽る。
結果、実態経済とかけはなれた相場になる
〇投資資産の管理の分け方
構造的トレンドを示す超長期(10年以上)、景気サイクルを映す長期(2年~10年)、金融現象の中期(3か月~2年)、投機主導の短期(日中~3か月)で分ける。
情報収集する際もその情報がどのスパンの投資資産にインパクトのある情報かを分けて集めることで整理しやすい。
〇超長期投資のリスク資産配分
今後20年、30年後に伸びる国を予想するのは困難。リターンを受け取るためには株式などのリスク資産を中心に分散投資する必要がある。
著者は海外と国内の株式を半々または海外を多めに配分することが妥当と主張している。
悲しいかな日本経済の低成長ぶりや人口減少、企業の新陳代謝などを見ると国内株式の投資にはあまり未来がないように思える。
しかし、投資期間終盤の10年以内になった際に逃げ時期を見落とすことの深刻なリスクに備える必要がある。
敗者のゲーム チャールズ・エリス 2日目
【運用基本方針】
第一段階
自分自身の長期運用目的の確認と、その達成のために望ましい資産配分比率の策定
第二段階
株式ポートフォリオの構成の決定・・・成長株対割安株、大型株対小型株、国内株対海外株、
第三段階
アクティブ対パッシブ比率の決定
第四段階
個別ファンドの選択・・・多くの時間をかけても長期的には効果が少ない
第五段階
アクティブな運用
※運用基本方針には運用収入がどれくらい必要かという内容は記載しない。
運用収入は増やしたいと思っても確実に増えるものではない。
経営でいうビジョンが運用収入、戦略がが運用方針のようなイメージ
運用基本方針についてのチェックポイント
①運用基本方針が投資家であるあなたの長期的ニーズと会うように注意深く設計されているか
②初めての担当者でも、そのポートフォリオを運用し、あなたの意図にあわせられるように方針が明文化されているか
③常識が覆されることが多かった過去50年間、特に2008年を含めた各々の混乱期に運用していたとしたら、あなたは実際にその方針を堅持することができたか?
④もし実行したのなら、その方針によってあなたの目的を達成できたか?
資産運用計画を立てる際の基本問題
①この計画はインフレを考慮したうえで、引退後の適切な生活水準を確実に維持できるものか?
②不意の支出、特に老齢期のものに十分な備えはあるか?
③遺産として用意する金額は、相続人や遺贈先の数、および自分の意図、計画に十分見合っているか?
インフレ調整後は実質購買力が低下し、資産価値が下がる。
その前提で運用計画を立てる必要がある。
長期的に見て、最も重要な投資の意思決定は何かを理解し、それに基づいて行動すること。
①10年以上運用する資産はすべて株式に投資
②2,3年以内の運用資産は現金ないしマネーマーケット資産に投資
運用資産の一覧表を用意すること
◆株式、債券への投資残高
◆住宅の実質価値
◆個人年金、退職制度に基づく貯蓄の残高
引退後の収入額を確認
◆年金給付
◆社会保険
◆資産の運用収益
敗者のゲーム チャールズ・エリス 1日目
個人投資家が個別株で利益を出そうとすることは、機関投資家と売買ゲームで勝たないといけない。
プロの投資家は利益を勝ち取るのに対し、アマチュアの投資家はミスで利益を失う。
さらに売買を行うたびに手数料がかかり、市場リターンから手数料が引かれるためゼロサムゲームとなる。
▼個人投資家が合理的な成果を得るための原則
運用リスクの理解
現実的な投資目標の設定
適切な投資配分
現実的な貯蓄と支出のルール
市場高等、暴落時に冷静さを保つ
優れた投資家が守ってきた投資についての基本原則
①投資の最大の課題は株式・債権・不動産などへの長期的な資産配分の決定である。
②長期的な資産配分の決定に際して考慮すべき点は、成長性・安全性・毎年の収入などだが、最も大事なのは、いつ資金が必要なるか、という点である。
③資産ごとにも、資産の種類ごとにも幅広く分散すること。暴落は突然起きる。
④決めたことを一貫して忍耐強く実行する。上昇相場は最も悲観的な時に起きる。一喜一憂したときの損失は大きい。「方針をきちんと立て、方針どおりに行動すること」だからこそ①の資産配分方針が重要である。
【投資家が追求すべき、最も重要な目標】
①投資家のニーズを把握すること
→投資によって得た資産で何を成し遂げたいのか。
②個人投資家自身の目的にあった、現実的な運用目的を明確にすること
→成し遂げたい目的に沿った運用目的・目標はなにか。
③投資家のリスク・リターン特性に合致した、適切な資産配分を確立すること
→保有資産のうち、短期的に必要な資金を除く余剰資金を算出
さらに今後の収入に対する資産配分を考える
④現実的で固有の長期運用目的を達成するよう設計された、明確で合理的な運用基本方針を作り上げること
→短期的なマーケットの変動に惑わされないような運用方針を作ること。