株式投資の未来 6章まで

1950年のS&P500を銘柄入れ替えせずに保有し続けると、銘柄入れ替えしたS&P500より高い運用成績となった。

 

理由は急成長する新興企業の株式に投資家が対価を支払いすぎること。

株価が高くなれば配当利回りが低くなり、配当利回りが低いと再投資を通じて増えるはずの保有株が増えない

 

 

 

株式の市場価格の増減は、投資家リターンを測る物差しではない。

投資リターン=成長率+配当率

新興企業は成長率が高いが配当が少ない。

長期投資の観点から、リターンの源泉となるのは配当である

 

 

S&P500生き残りの運用成績が高い企業の特性として、誰もが知っている消費者ブランドを持つ生活必需品メーカと大手製薬。

1957年~2003年まで保持した倍の年率リターンは1位が19.75%で20位でも13.58%。

年率リターン1位のタバコメーカーのフィリップモリス低い期待、高い成長率、高い配当利回りが嚙み合って、リターンが加速する完璧な環境が整っていた。

 

消費者ブランドメーカーは米国だけでなく世界中の市場で強力なブランドを育てることで成功してきた。

 

▼投資家リターンの基本原則

偉大な企業をみつけるにはどうするべきか?

 

株式の長期的なリターンは増益率そのものではなく、実際の増益率と投資家の期待との格差で決まる

A社:向こう10年間の増益率10%の見込み

B社:向こう10年間の増益率3%の見込み

A社は投資家に年率15%の増益率を期待し、株価が高くなる。

つまり成長期待が高い銘柄は株価が高くなり、将来のリターンを押し下げる。

 

期待度を測る指標はPER。PERが高いとき、投資家は平均を上回る増益を期待している。PERが低いとき、平均を下回る増益しか期待されていない。

 

銘柄選別に当たって、つねに株価と利益との関係で評価しなければならない。

成長見通しだけで買い続けると、手にするリターンは期待外れとなる。

 

投資家リターンの基本原則は、株式配当を生むとき、効果が増幅する。

企業の実際の利益が期待を上回った時、株価は過小評価されている。

株価が過小評価されると、配当再投資を通じて購入する株数が増える。

保有株が増えるとリターンが膨らむ。

 

運用成績が際立って高い企業の特徴

①PERが市場平均をわずかに上回っている。

配当利回りが市場平均並み

③長期的な増益率が市場平均を上回っている。

 

 

成長セクター投資に潜む罠

セクター投資:業界を1つの単位として見て投資する手法

 

成長セクター:ハイテク、金融などは投資家から高い期待を受け、時価総額の上昇から投資家へのリターンが減る。

 

反対に鉄道会社などは高速道路の普及、飛行機の台頭などでセクター内のシェアが大幅に下がったが、投資家の期待が低くさらに黒字転換できたため拝聴が継続され、S&P500の平均を圧倒した。

 

セクターの時価総額とリターンはかならずしも相関しない。

 

長期的な勝ち組としてのセクターはヘルスケア、生活必需品、エネルギーの3つ。

熱心に品質維持に取り組み、世界的ブランド戦略を推し進めた。

 

短期的な売買を行う投資家からするとリターンと時価総額は相関している。

しかし長期的に投資をする場合は、話題のセクターを追い求めるアプローチは残念きまわりないリターンしかもたらさない。

 

バブルの罠

バブルのテーマに関する企業や業界の株から手を引くこと、

 

教訓1:バリュエーションはいつも重要

 高すぎるPERには注意

教訓2:買った銘柄に惚れこんではいけない

 信者となり、根拠のない値上がりを期待し続けるな

教訓3:時価総額が高く、知名度の低い銘柄は要注意

教訓4:3桁のPERは避ける

 インターネットバブルの当時、年率21%~56%の楽観的な増益見通しが実現すると想定しても、PERは100倍を超える企業があった。

教訓5:バブルで空売りは禁物

 バブルは想定しているよりも長く続き、極端な水準まで膨らみ続ける

 

IPO投資

1968年~2000年までのIPO銘柄を買い持ちした場合、[年率リターン]ー[小型株指数]の運用成績は1/5は市場平均を上回る成績を残したが、4/5は市場平均を下回っている。

 

市場平均を上回る成績を残すIPO銘柄はごく一部で、ほぼ宝くじと同じである

 

バブルを長続きさせるのは「もっと馬鹿がいる」理論。

もっと高値で買う誰かがきっとどこかにいると思うからこそ、長く続く。