株式投資の未来 第16章から ポートフォリオ戦略

▼世界市場と国際ポートフォリオ

 

成長率の高い国に投資するべきか?

→前回述べられた急成長している企業はリターンが少ない例と同じく、成長率の高い国に投資するとリターンが成長率の低い国と比べて少ない。

 

【1992年~2003年の中国とブラジル】

中国

11年間で166%成長政治的にも安定

リターン:1992年に投資した$1000は2003年には$320になる。(32%)

 

ブラジル

11年間で22%の成長率、超インフレで国民の不満から大統領が何度も変わる不安定さ

リターン:1992年に投資した$1000は2003年に$4781になる(478%)

 

理由は中国の成長が期待されすぎて株価が高すぎること。ブラジルの株は低迷しており、経済の混乱を受けて配当利回りは一貫して高水準だったため。

特に中国の成長は課題評価され、多すぎる資金が少ない銘柄に群がったことが原因。

 

 

▼国際ポートフォリオ

金融のセオリーに従えば、ポートフォリオの幅はできる限り広げることが正解。

どの国の市場も時価総額加重平均ベースで組み入れ、なるべく多角的に構成する。

 

日本在住の投資家は株式ポートフォリオの6%を国内に、その他を外国企業へ配分するべき

 

2022年8月時点の時価総額

出典:世界各国のPER・PBR・時価総額 (毎月更新) - myINDEX

 

 

▼国内バイアス

機関投資家個人投資家にしても保有株式の大半を国内株に集中させる傾向がある。

 

理由は為替変動によるリスク、売買コストが割高、国内企業は情報が入手しやすいこと。

 

反論:長期的に見れば為替変動を相殺する。

為替レートの動きを決めるのは2国間のインフレ格差であり、株式のリターンはインフレ格差の影響を相殺する方向に向かいからだ。

 

1992年以来のブラジル通貨はドルに対して切り下がったが、それ以上にブラジル株が値上がりした。

理由はインフレ率の急騰で有形資産としての不動産や貴金属、株が買われたため。

 

国際ファンドの売買コストも大幅に低下しており、情報もネットで手に入る。

 

▼セクターの分散と国の分散

世界経済の変化を見通して行動する企業ほど成功する。

ここでは本社がどの国にあるかは関係ない。売上に占める国外市場は間違いなく上昇するため、どの国の企業かは関係ないのである。

 

▼国際インデックス運用ポートフォリオのコアに。

株式投資の戦略として、国際的な分散を勧める。

外国の企業に配分する際は、国際的なインデックス運用を株式ポートフォリオのコアにする。

 

 

▼未来に向けた戦略 D-I-V指針

インデックス運用株式投資のコアにしつつ、補完戦略を組み合わせることで高いリターンを得られる。

 

D-I-V指針

 

配当(Dividend)

個別銘柄の選択にあたっては、持続可能なペースでキャッシュフローを生成し、それを配当として株主に還元する銘柄を選ぶ

 

国際(International)

世界のトレンドを認識する。このままいけば、世界経済の均衡がくずれ、中心は米国、欧州、日本から、中国、インドをはじめ途上国世界へシフトする

 

バリュエーション(valuation)

成長見通しに対しtバリュエーションが適正な株を買い続ける。IPOや人気銘柄は避ける。

個別銘柄であれ業界であれ、市場の大勢が「絶対に買い」とみているうちは、買わない

 

▼配当

高配当戦略

経営陣の役割は、現在から将来いかけて株主へのキャッシュフローを最大化すること。

 

株式のリターンは企業の増益率そのものではなく、それが期待に対してどうだあったかで決まる。

配当が高い銘柄はたいてい、投資家が収益見通しに過剰に悲観的になっているので、結果的に株価が適正水準を下回り、リターンは平均を上回る。

 

〇高配当戦略の実行

ダウ10種、S&P10種などの高配当の個別銘柄を組み込む。

ただし、リストの顔ぶれは毎年入れ替わる。高配当だった企業がそうでなくなる可能性もあるため。

 

不動産投資信託REIT

REITとは不動産ないし、不動産担保ローンを購入・管理する投資会社。

純利益の90%を配当として投資へ分配することを条件に法人税を免除される(米国では)

そのため、株式として見た場合、利回りが高い。

高配当銘柄の比重が高いポートフォリオならREITを入れて分散をするべき。

 

▼国際

近い将来、先進国世界と途上国世界での富の配分が劇的にシフトするとみている。

そのため国際的なインデックスファンドなどを多く配分するべき。

 

しかし、急成長国に特化した企業の比重を高くすることは勧められない。成長の罠にはまるケースがあるため。

逆に世界的に事業展開する企業はきわめて魅力的な投資先となる。

 

スタンダート&プアーズ・グローバル100

時価総額が大きく、世界中に拠点を持ち、本質的に事業が世界的で、営業利益のかなりの部分を世界の多様な市場で稼いでいる企業が組み入れられている。

 

国際銘柄を買う際も配当とバリュエーションは重要

企業の国ごとの会計基準が異なるため、企業の収益性を正しくはかるためにも配当を見張る。

 

▼バリュエーション

〇セクター戦略

・石油

└途上国でのエネルギー需要の上昇

原油価格の高騰で経済成長の重しとなるが、備蓄を備える石油会社にとっては追い風となるため景気サイクルと逆行する性質がある。

 

・ヘルスケア・生活必需品

└世界的に同じようなブランドが好まれている傾向にあり、消費者の嗜好がグローバルに均衡していくため。

ヘルスケアでは社会の高齢化を背景に伸びる可能性。

 

〇低PER戦略

高配当戦略と仕組みは似ている。

S&P500からPERの特に低い100銘柄(下位20%)を選んで投資。

株価が適正水準を突き抜けて下落しても、企業が利益を出している限り、PERの低下としてあらわれる。

 

〇生き残り上位戦略

S&P500の当初の生き残りから、運用成績上位20銘柄を選んで投資。

話題性はないものの時に裏打ちされた企業たちを選び、今後も高いリターンを与え続けてくれる。

 

バークシャー・ハザウェイ

健全投資の原則をすべて実践。

株主にどこまでも忠実で、バリュエーションにつねに目を光らせ、夢を語る銘柄を避け、IPOを避け、知識経験の枠外にある銘柄を避けた。

しかしバークシャーは配当を支払わない。健全な収益性を保ちつつ、再投資に回すため。

 

インデックス投資とリターン補完戦略

ドルベースの投資家であればインデックスファンド半分、半分をリターン補完戦略。

各戦略を10%ずつ。

 

理由はキャピタルゲインの税制とリスク選好度。

税制は現代かつ日本のものをあてはめ、リスク選好度は自身の将来のプランに当てはめて考える。